家に帰るため!

妹が小学校一年生になったのを

待っていたかのように、

母は、私の迎えを辞めた。

学校から家までの帰宅手段は

徒歩しかなくなった。

 

六歳と八歳の子供が、ランドセルを

背負って、十円玉を握りしめて

五キロの道をあるくのです。

祖母の家は、駅の近くにあった。

歩いて帰る、私たちの横を

バスが走っていく?

 

その道は、バス路線ではないので、

本来なら、バスは通らないはず、

なのに、なぜかバスが走ってる。

試しに、手を挙げてみた。

なんと、バスは止まった。

 

「よく歩いてるよね、どこまでいくの?」

運転手さんに、家の住所を伝えると、

「国道までは行くよ、乗って行く?」

と言ってくれた。

私たちは、バスの前の席に座った。

 

そのバスは、スクールバスで生徒を

駅まで送った後は、通常路線にかえる。

普通は国道を走ってるから、

そこまでなら、乗せても良いと思って

くれたのだろう。

降りるときに二十円を渡した。

「良いよ。」と言ったけど、笑い

ながら受け取ってくれた。

 

その日から、見かけたら止まって

くれたので、とっても助かった。

国道までは、帰り道の半分ぐらい、

残り半分は、楽勝だったが、

喉が渇いたときは、知らない家に

「お水を下さい。」と言って、

訪ねて行った。

 

そのうち、バスの時間を教えて

くれたので、時間が合えば、

駅まで行けば乗せてくれた。

まに合わなければ、歩いて帰る。

ちなみに、私たちが払ったお金は

子供料金になったら、料金箱に

入れていたみたいでした。

 

四年生になり、下校時間か遅く

なると、バスに間に合わない

ときが多くなりだしたが、

姉が高校生になったので、姉の

自転車が、私の物になった。

兄は学校に入る前から、自転車を

持っていて、何度か買い換えて

もらっていたので、歩いて帰った

ことはない。

 

姉が、祖母たちと住んでいたのは

可愛がられていたのと、姉も通う

のと、手伝いが嫌だったからだと

大人になってから聞いた。

 

それでも姉は、土曜日には、時々

兄と一緒に帰っ来て、手伝いをし、

月曜日に、一緒に学校に行った。

 

五年生になるころ、叔父や叔母は

結婚して出ていったので、私たちは

学区内の家に引っ越した。