時の流れるままに

田舎の朝は、早い。

朝食を作り、洗濯を干すと、

みんなが出掛けて、息子と二人だけ、

 

家が日本家屋のせいか、部屋数が多い

もちろん、使ってない部屋もあるが、

片付けを済ませて、乳母車に子供を

乗せて、日光浴を兼ねた散歩をする。

 

近所に住む、同じ年の子を持つ

奥さんと、言葉を交わす。

田舎の情報網は、早い。

仕事から帰ってきた、お母さんに

「今日、近所の人と話してた?

 あまり、長話しないほうがいいよ。

 誰が見てるか、わからんから。」

えっ、それは良くないことなの?

 

お母さんは続けて、話した。

「何処の、お嫁さんが早く洗濯物を

 干すかとか、何をしてたとか、

 よく見とる人が、おるから」

 

あっ、それで、早く起きたほうが

良いって言ってたのか。

私たちは、嫁同士勝手に、競争

させられていたみたいだ。

さすが、地元の情報には詳しい。

長く住んでるだけあるわ。

 

二年の時が過ぎて、長女が生まれた。

もう、田んぼも手伝っていた。

小さいときから、してるので

大体の、手順はわかる。

 

六年後、少し離れた所に、家を

新築した。

夫は、今の家に当分住むことを

提案した。

お母さんは反対したが、お父さんは

納得してくれた。

 

妹は少し前に、嫁いでいた。

地鎮祭や餅なげは、みんなでしたが、

二人だけの引っ越しになる。

私たちの部屋もあるので、かなり

広い家になった。

 

その年に、妹が出産したあと、

実家に里帰りしてきた。

次の年、私は仕事を始めた。